中小企業は,経営者の高齢化が進む中,後継者教育や人材確保ができず,また,相続対策・税金対策が不十分なことなどから,経営者の遺産相続に伴い会社支配に関する紛争が生じたり,廃業せざるをえない状態に追い込まれることがあります。
このような事態に陥らないように,また,陥った場合にもダメージをできるだけ小さくするためには,効果的な対策を早め早めに打っていくのが効果的です。
事業承継をどのようにしていくのが良いのか(社内承継か社外承継(事業譲渡等)か,社内承継をするとして,親族への承継か役員・従業員への承継か),その方法をとることが可能なのか,事前にどのようなことをしておくべきなのか,それによってどのような効果が見込まれるのか等をしっかり検討し,ことを計画的に進めておかねばなりません。
このような事業承継の問題は,税金問題が大きいことから,公認会計士・税理士への相談のみによって解決が図られることも多いです。
しかし,中小企業も会社法を中心とする法律によって,ルールが定められており,それに関連した判例も多く積み重ねられてきており,経営者が税理士と対策を練っていく過程で法的問題が発覚する場合や,全く想定外の法的紛争が発生してしまうケースも多々あります。そのような場合は,公認会計士・税理士では,解決することができません。また,企業活動を継続する中で締結してきた多くの契約の中には,第三者への権利譲渡を禁止するなど事業承継に少なからぬ影響を及ぼすものもあり,法的視点から見たスクリーニングは必要不可欠と考えられます。
弁護士は,そのようなスクリーニングをまさに専門としておりますので,最終的に弁護士に法律事務を委任するかどうかは別にしても,事業承継に関しては,折々に法律相談や助言を得ながら進めていくべきと考えます。