債務整理は、弁護士に依頼しなくても絶対に不可能というものではありません。しかしながら、一般の方は、法的知識・実務経験を持ち合わせていないのが通常であり、にもかかわらず自ら債務整理を進めると、より不利益な結果となる、いわば傷口を拡げてしまうリスクが高くなります。知識経験を有する弁護士に債務整理を委任することによって、このようなリスクを回避・低減する観点から有効です。
また、債務整理を弁護士に委任すると、弁護士は、直ちに、債権者に対し、今後の支払を停止することと、弁護士が今後の連絡窓口となることを通知します(このような通知を「介入通知」といいます。)。介入通知がなされると、以後、債権者は、債権に関する連絡を弁護士に対してのみ行うことになります。
債務整理の主な方法としては、①任意整理、②自己破産、③個人再生があります。
①任意整理
債権者との間で、主として債務の支払い方法について個別交渉し、債権者との合意によって、債務の支払金額・支払方法を変更します。
②自己破産
裁判所から、「破産手続開始決定」を得た破産者に対してのみ認められる「免責許可決定」を得ることによって、債務の支払責任から解放されることができます。ただし、税金や社会保険料などについては免責を受けることはできません。
③個人再生
②の自己破産が債務全額についての免責を得る手続であったのに対し、個人再生は、一定の金額については債権者から免除を受けた上で、残額について、3~5年の間に分割払いで返済する手続です。分割払いすべき返済金の総額が、少なくとも保有財産の清算価値を上回ること、少なくとも債権の20%以上を下回ってはならないこと、100万円を下回ってはならない等のルールがあります。
個人再生手続は、破産と異なり、資格制限を受けないため、警備員・保険外交員等が債務免除を得るための法的手続きとして適しています。
また、住宅ローン支払い中の自宅がある場合、住宅ローンを債務免除の対象外として、別枠で返済することも可能であるので、破産によって自宅を失いたくないものの、債務免除なしには立ち行かない方にとっては、大変有力な救済方法であるといえます。
サラ金・クレジットカードの利用や、他人の債務の保証などのために、多額の債務を負担し、その支払いが困難となった場合、それらの債務を整理すること無しには、正常・平穏な日常生活は望めません。