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~知っておきたい令和の相続法改正~

平成30年7月に民法等の一部を改正する法律が公布され、平成31年1月から段階的に施行されています。
相続法が大きく変わりました。
今回は、知っておきたいポイントをピックアップして解説します。


 

自筆証書遺言が利用しやすくなります

 
改正前から、便せんなどに自書するだけで遺言を作成することはできました(自筆証書遺言)。
 
しかし、この方法は簡単な反面、遺言者が死亡した後、①本当に遺言者が書いたものなのかどうか、②仮に、実際に遺言者が書いたものだったとしても、認知症などで判断能力がない状況下で、誰かに書かされたものではないか、相続人間の争いを未然に予防するのには不十分でした。
 
また、この自筆証書遺言による場合には、遺言者の死後、家庭裁判所にて検認という手続きを経る必要がありましたので、残された側からすると手間がかかる面もありました。
 
このような点から、遺言のご相談を受けた際には、私は、なるべく公正証書遺言を作成することをお勧めしておりました。
この方法では、法務局所属の公証人が遺言者と面談をし、本人確認をした上で、その内容を確認して、遺言を作成します。証人2名の立会も必要です。
 
従って、前述のような、①遺言者が書いたかどうかという争いは未然に防止できますし、また、②遺言者の判断能力に関する争いも、一定程度、防止することができました。
また、残された側は、自筆による場合と異なり、裁判所の検認を経なくても、そのまま遺言書を銀行や法務局に持って行けば、遺言の内容に沿って預金の払い戻しや不動産の名義変更ができるという手続き的なメリットもありました。
 
ところが、今回の改正で、公的機関による自筆証書の保管制度ができることになりました。
 
令和2年7月10日からの施行(実施)ですが、この制度は、遺言者が作成した自筆証書遺言を、公的機関(法務局)が保管してくれるというものです。
遺言者の本人確認をしたうえで、公的機関(法務局)が遺言書を預かりますので、本人の遺言書であるかどうかという争いの防止にも役立つと思われますし、また、死後の検認手続きも不要です。
 
そのうえ、遺言者の死後、遺言に関係する相続人等が保管機関に請求をしますと、保管機関は、遺言に関係する他の関係者にも遺言を保管していることを通知してくれます。
 
遺言書を残す側からすれば、一部の相続人により、自分の遺言書(遺志)が隠匿されたまま握り潰されることを防ぐこともできますし、公正証書遺言よりも作成に要する手間も省けそうです。
 
遺言の選択肢として検討する価値がありそうです。
 
 
 
そこで次は、相続登記の必要性についてみていきます>>
 

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