~知っておきたい令和の相続法改正~

平成30年7月に民法等の一部を改正する法律が公布され、平成31年1月から段階的に施行されています。
相続法が大きく変わりました。
今回は、知っておきたいポイントをピックアップして解説します。


 

多くを与えたいときは、早めの生前贈与?

 
遺留分制度をご存知でしょうか。
 
ごく簡単に言えば、被相続人の財産に対して、兄弟姉妹以外の相続人に、最低限の取り分を保障するものです。
具体的には、これも大雑把になりますが、被相続人が生前に贈与した財産や、遺言により特定の者に承継させた財産について、兄弟姉妹以外の相続人に、遺留分割合(直系尊属が相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外は、法定相続分の2分の1)に応じた権利を認めようとするものです。
 
 
遺留分権利者(兄弟姉妹以外の相続人)の実際の遺留分の額を計算する場合は、①被相続人が残した遺産の価額に②生前贈与の価額や相続人の特別受益の額を加算して・・・前述の遺留分割合をかけて・・と計算をしていくのですが、今回の改正で、加算される相続人に対する特別受益の額について制限が行われました(令和元年7月1日施行)。
 
 
つまり、遺留分の計算において、加算される相続人に対する特別受益の価額は、相続開始前10年間にされたものに限るとされました。
 
改正前は、被相続人の死亡前、20年前でも、30年前のものであっても、相続人が例えば、マイホームの購入資金の贈与を受けていれば(特別受益)、その贈与の額が遺産に加算され、遺留分権利者の遺留分の計算の対象になっていました。
しかし、改正後は、死亡よりも10年より前の特別受益については、これを遺産の額に加算しなくて良いとされたのです。
 
 
この点については、生前贈与による贈与税の課税などを検討する必要がありますが、特定の相続人を優遇したい場合には、早めに生前贈与を行い、他の相続人の遺留分の計算において、その生前贈与の価額が加算されないようにしておくことも選択肢となりました。
 

 

終わりに

 
いかがでしたか。
今回の相続法改正には、ほかにも様々な改正がありますが、今回は、なるべく簡単に、複雑な説明を省いて、特に知っておきたいポイントを解説しました。
 
今回の改正は、大きな改正ですので、できれば専門家に確認しながら、検討することをお勧めします。
 
   前へ<<

相続のお悩みを解決

家族への最後のメッセージ「遺言」、判断能力が心配「後見制度」利用、亡くなった後の「相続」生前からの対策を専門家へご相談ください
 

弁護士費用

弁護士に依頼する際にかかる費用についてのご案内
 
 

解決事例

さまざまなケースがあります
 
 

富士法律事務所
東京都港区西新橋3丁目11番1号
建装ビルディング5階

電話受付時間 : 9:00~17:00
電 話:03-6809-1042
FAX:03-3433-1033